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はかば

墓場

西尾 正

「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

事件の大要を、――わたくしは法廷でこう陳述したのです」

僕は黙った。それが話をひきだすのに一番いい方法だと思ったからである。案の定ペンダア君は身ぶり手ぶりで話のペダルを踏みながら、劇的なアクセントをつけて語り始めた。

アレックス・ペンダアの陳述

――皆さん、どんなにあなた方が探索なさっても無益であることを、わたくしは繰り返します。もしお望みなら永久にわたくしをここに拘留して下さい。あなた方が正義と呼んでいるそんな幻の御機嫌をとりむすぶために、犠牲が必要だとおっしゃるなら、拘留しようが追放しようが自由です。けれどもわたくしは前に述べたこと以外に最早言うべき何物もないのです。事実をゆがめたり隠したりしたことは一つもありません。もしボンヤリした点が残っているとしたらそれはとりもなおさず、わたくしの心に被いかぶさった黒い雲のせいです。――あの雲と、そしてあの得体の知れぬ恐怖のせいです。

再びわたくしは言いましょう。

トオマス・スティヴンがどうなってしまったか、全然知らないということを。

五年間というもの、わたくしが彼の親友であったことはほんとうです。また未知の世界に怖ろしい探究を企てた相棒であったこともほんとうです。