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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页
僕は第三者としてきいてあげるから遠慮なく言ってみたまえ」
小沢は頬に微笑を浮べながら、言葉をつづけた。
「――諸君は僕をおせっかいと思うだろう。たしかにおせっかいだ。しかし、おせっかいにならざるを得ないのだよ。日本のことを心配するからだ。なるほど、他人のことは放って置けばいいのかも知れない。日本人は島国根性で、偏狭で、すぐ他人のことをとやかく言いたがる。小言幸兵衛が多すぎる。しかも僕は復員したばかしで、明日の米、いや、今日の米にも困る人間だ。他人のことは――いや、他人のことにかかわっている余裕すらない人間なのだ」
そこで小沢はまた一同を見廻して、
「――しかし、げんに暴力沙汰が行われようとしているのを見ながら、放っても置けないじゃないか。だから、おせっかいを買うて出たわけだが、もし、諸者が僕の言ってることの十分ノ一でも判ってくれたら、とにかく、諸君の言い分を言いあったらどうだ。――誰からでもいい。どうだ君は……。何か言い分があるだろう。言ってみ給え!」
小沢は隼団の龍太を指した。
が、龍太は咄嗟に返答できず、あっけに取られながら、苦笑していた。
「君はどうだ……?」