轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

見たものは皆驚いたそうですよ。馬籠ばかりじゃない、妻籠でも、山口でも、中津川でも見たものがある。」

吉左衛門と金兵衛とは二人でこんな話をして、伊勢木の始末をするために、村民の集まっているところへ急いだ。山里に住むものは、すこし変わったことでも見たり聞いたりすると、すぐそれを何かの暗示に結びつけた。

三日がかりで村じゅうのものが引き合った伊勢木を落合川の方へ流したあとになっても、まだ御利生は見えなかった。峠のものは熊野大権現に、荒町のものは愛宕山に、いずれも百八の松明をとぼして、思い思いの祈願をこめる。宿内では二組に分かれてのお日待も始まる。雨乞いの祈祷、それに水の拝借と言って、村からは諏訪大社へ二人の代参までも送った。神前へのお初穂料として金百疋、道中の路用として一人につき一分二朱ずつ、百六十軒の村じゅうのものが十九文ずつ出し合ってそれを分担した。

東海道浦賀の宿、久里が浜の沖合いに、黒船のおびただしく現われたといううわさが伝わって来たのも、村ではこの雨乞いの最中である。

問屋の九太夫がまずそれを彦根の早飛脚から聞きつけて、吉左衛門にも告げ、金兵衛にも告げた。