轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

「尾州の御先荷がもうやって来た。」

と言って見た。

宿継ぎ差立てについて、尾張藩から送られて来た駄賃金が馬籠の宿だけでも金四十一両に上った。駄賃金は年寄役金兵衛が預かったが、その金高を聞いただけでも今度の通行のかなり大げさなものであることを想像させる。半蔵はうすうす父からその話を聞いて知っていたので、部屋にじっとしていられなかった。台所に行って顔を洗うとすぐ雪の降る中を屋外へ出て見ると、会所では朝早くから継立てが始まる。あとからあとからと坂路を上って来る人足たちの後ろには、鈴の音に歩調を合わせるような荷馬の群れが続く。朝のことで、馬の鼻息は白い。時には勇ましいいななきの声さえ起こる。村の宿役人仲間でも一番先に家を出て、雪の中を奔走していたのは問屋の九太夫であった。

前の年の六月に江戸湾を驚かしたアメリカの異国船は、また正月からあの沖合いにかかっているころで、今度は四隻の軍艦を八、九隻に増して来て、武力にも訴えかねまじき勢いで、幕府に開港を迫っているとのうわさすら伝わっている。全国の諸大名が江戸城に集まって、交易を許すか許すまいかの大評定も始まろうとしているという。