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よなきてっこつ

夜泣き鉄骨

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,273 字 · 31 页

青空文庫

「だが可怪しいぞ」とわしは云った。「クレーンは確かに動いたんだ。クレーンはモートルでしか動けないんだ。このスウィッチが開いていて動く筈はない。開いているようでも何処か、電気が通うようになってるんじゃないか。よく中を開けて調べて見ろ」

カチャカチャと音をさせて、スウィッチの硝子蓋を開いてみたが、それは普通のスウィッチが、明らかに開かれた状態になっていて、外にインチキな接続は発見せられなかった。

「たしかに、このスウィッチは開いています」政は泣き声で云った。

「よし、では念のために、クレーンの上へ昇ってみよう」わしは云った。

「なに、クレーンへ昇る――」

一同は、互に顔を見合わせて、恐怖の色を濃くした。

「政、昇れ!」

「いやァ、救けて下さい」政は、ポロポロ泪を出して、喚くのであった。

「じゃ、わしが先登に昇るから、直ぐうしろから、ついて来い。いいかッ」

わしはそういうなり、壁際へ進んで、クレーンに攀じ昇る冷い鉄梯子へ、手をかけた。

5

「矢張り、クレーンのスウィッチも、開いています」

三人の男にさんざん世話をやかせ、漸くわしのあとから、クレーンの上まで担ぎあげられた政は、モートルの横の、配電盤をひと目見ると、恐ろしそうに、そう云った。