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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

後記

永遠の夢がかれを支えているといって好い。徒に現実の餌食となるのは堪えがたい。鶴見はこの上とも生きて生きてゆかねばならぬと覚悟しているのである。

(註記。前に出した問答はわかりにくい。それは純粋の地方語で語られている。それを標準語に訳してみる。

――それは何ね。――お餅です。――何をしているの。――鎌倉の伯母さんとこに送ります。――あら、たったそれだけ。――伯母さんとこは三人ですから。――うう、ではそれでよいのですね。)

南無、南無。

三昧の夢の法界に、生死を繰り返す無尽性に、固定を通ずる無礙性に、その真実性に、われらは帰依し奉る。

われらはまた執著と浄念との諧和を、永遠を刹那に見る輪廻の一心法界を、絶対にして広大なる理智の徳を、真言を、創造を、獅子の活力と精神力とを、自然に周遍する白象の托胎性を、ここに斉しく崇め奉る。

後記

『藝林間歩』に「黙子覚書」を寄稿し、十回に及んで一先ず完了を告げた。完了といっても実はどうして結びがついたのかわからぬようなものである。しかしここまで老の身をいたわり、励みをさえつけられて、その成就をよろこばれたのは野田宇太郎さんである。