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むゆうびょうしゃのし

夢遊病者の死

江戸川 乱歩

「苦楽」プラトン社、1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,121 字 · 22 页

青空文庫

「お前は毎日そうしてゴロゴロしていて、一体恥しくないのか……」と、それから長々とよその息子の例話などがあって、さて「俺はな、お前に養って呉れとは云わない。ただ、この老耄の脛噛りをして、ゴロゴロしていることだけは、頼むから止めてくれ、どうだ分ったか。分ったのか分らないのか」

「分ってますよ」すると彦太郎がひどい剣幕で答えるのだ。「だから、一生懸命就職口を探しているのです。探してもなければ仕方がないじゃありませんか」

「ないことはあるまい。此間××さんが話して下すった口を、お前はなぜ断って了ったのだい。俺にはどうもお前のやることはさっぱり分らない」

「あれは住み込みだから、厭だと云ったじゃありませんか」

「住み込みが何故いけないのだ。通勤だって住み込みだって、別に変りはない筈だ」

「…………」

「そんな贅沢がいえた義理だと思うか。先のお店をしくじったのは何が為だ。みんなその我儘からだぞ。お前は自分ではなかなか一人前の積りかも知れないが、どうして、まだまだ何も分りゃしないのだ。人様が勧めて下さる所へハイハイと云って行けばいいのだ」

「そんなことを云ったって、もう断って了ったものを、今更ら仕様がないじゃありませんか」