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「おとなのぶんがく」ろんのげんじつせい
「大人の文学」論の現実性
宮本 百合子
「報知新聞」1937(昭和12)年2月16~18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,408 字 · 9 页
日本の文学が、独自的な芸術をもつべきであり、もち得る時期に入っているということの主張も、「大人の文学」の提唱のうちにこめられていると思う。しかしながら、そのことは、直ちに官吏、軍人、実業家の中心問題を文学の中心問題とすることでないのは明瞭である。今日いわれている「大人の文学」の提唱に、こういうごく素朴な、政治と文学との混同が顕著であることは注目に価する。老藤村が、文化勲章の制定に感激しつつ、いまだ文学が一般の人、特に政治家に分っていないこと、そのためにこのよろこびが些かほがらかならざることに遺憾の心をのべているのは味わうべきところであった。文化勲章は従軍徽章でないのである。藤村が、文学者の中に文学を理解しない者を発生させている時代的文化の貧困について語らなかったのは、あるいは一つの礼譲からであったろうか。〔一九三七年二月〕