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「おとなのぶんがく」ろんのげんじつせい

「大人の文学」論の現実性

宮本 百合子

「報知新聞」1937(昭和12)年2月16~18日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,408 字 · 9 页

青空文庫

近頃、一部の作家たちの間に、日本の作者はもっと「大人の文学」をつくるようにならなければならない、という提唱がなされている。この頃一般人の興味関心は文学から離れつつある。その理由を、今日の作家は文学青年の趣向に追随して、その作品の中で人間はいかに生きてゆくべきかという生きかたを示さず、小説の書きかたに工夫をこらしているからであると見る評論家(小林秀雄氏)作家(林房雄氏)たちによって、「大人の文学」論がいわれているのである。

従来、ごく文壇的なひととして生存して来ている小林、林氏などによってこのことがいわれはじめているのは面白い。一般に、近頃の小説はつまらないという声の高いのがとりも直さず文学に対する関心がうすれたとばかりいえるかどうか。つまらない、という上は、読者が何か文学から求めているものがほかにあり、しかもそれが満たされていないところから湧く声である。

さながら文学青年によって今日の作家は害されているようにいわれているが、文学青年と一括されて語られている若い人々としてみれば、そもそも俺たちを産んだのは誰だと、ききかえしたいものもあるであろうとも思われる。