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だいこのは

大根の葉

壺井 栄

「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页

青空文庫

いつも手紙やはがきが重なりあっていた。

「郵便さん、健に手紙来とるか。」

健はきまって、そうきくのであった。

「来とらんがいの。」

「ほうよ、そんな仰山、みなよその手紙か。」

「はあ、よそのてまぎじゃ。」

郵便さんは健の口まねで答え、箱の中からつかみ出した手紙やはがきを手のひらの上でそろえて黒い鞄の中にしまい、箱の中に細い紐で結えてぶら下がっている判こを帳面に押して、ぱたんと蓋をしめた。

「さよなら健ちゃん。」

郵便さんは自転車に乗って走っていった。だんだん遠ざかっていく黒いうしろ姿が村はずれの藪のかげにかくれて見えなくなると、健はくるりと左をむいた。道路にむかって開けはなしの門までのあいだを、つま先に踵をつけて小きざみに足をかわした。今朝おろし立ての鼻緒に赤い紙をないこんである藁草履がうれしかった。

鬼ごとするもんようって来い!

鬼ごとするもんようって来い!

裏の荒神様の森で、つれをよび集める子供の声がする。珍しく家で遊んでいた太郎と秀子が、そろいの藁草履をつっかけて土間から裏口へかけだして行った。健も急いであとを追っかけた。よくふとって顔は一つ年上の太郎より大きいのに、背は一つ年下の秀子と同じくらいよりなかった。