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だいこのは

大根の葉

壺井 栄

「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页

青空文庫

大きい頭をふりながら走ると、よたよたしていつでも秀子にさえまけた。健はゆっくりと荒神様の石段を上がっていった。そこは秀吉の朝鮮征伐のときに、人夫としてこの村からかり立てられて行った人たちが朝鮮から持って帰って植えたものだといい伝えられている、三本のバベの木でこんもりとした森をつくり、空をおおって大きくひろがった枝の下に荒神様の社があった。三本の親木は、そのどれもみな健たちが五人手をつないでやっと抱えられるほどの大木であった。社の前の空地で、五、六人の子供がじゃんけんをしていた。つかまえ鬼である。健ははじめてなので、じゃんけんなしで仲間入りをしたが、すぐ鬼になった。おもしろくて、はあはあ笑いながら追いまわした。つかまえようとすると、くるりとはずされた。こんどこそやっとつかまえたと思うと、取ってがえしにやられて、また鬼である。松の根方や、大小のバベの木を縫って、石の鳥居や燈籠をぐるぐるめぐって追っかけた。くりくりした丸い胴体に、ちょこんとのっかった、並はずれの大きな頭をふりふり駆けた。健より足のおそいものは誰もない。健はいつまでたっても鬼よりほかになれなかった。