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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
相当に寿命のあった蝋燭も、この際あえなき最期を遂げたのであります。
「七兵衛さん、悪い気でしたのじゃないから堪忍しておくれ、殿様の御気性で、ホンの一時の座興なんだから。元はといえば、お前があんまり、ひけらかすから悪いのさ」
暗くなって、初めてお絹が白々しい申しわけをする。
「なあにようござんすとも、こうしてお世話になっている以上は、何事も共有といったようなものでござんすからね、御入用だけお使い下さいまし、御自由に」
先夜とは打って変った白々しい気前ぶりを見せた言い方。
暗い間のバツを利用して、お絹は神尾主膳の手を取って、この座敷を連れ出してしまいました。あとに残された七兵衛、ドッカと胡坐をかいて、ニタニタ笑いがやまない。
先方は見えないつもり、こちらは暗いところでよく物が見える。神尾の手を引いて、ソッと抜け出したお絹という女の物ごし、散乱した金銀に心を残して出て行く足どり――あの足どりでは、足の裏へ小判の二三枚はくっつけて出たかも知れない。悪い時に帰ったものだ。
しかし、これが縁になって、その翌日、七兵衛は表向いて神尾主膳に紹介されました。
うちあけた話になってみると、おたがいに、相当に頼母しいところがある。