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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

中里介山『大菩薩峠6』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 页

青空文庫

お銀様からこう言われたのが、この場合、お角にとっては勿怪の幸いであったらしく、

「はい、お伴を致しましょう」

と言ってしまいました。それで納まらないがんりきの百蔵が向き直るとお角は、それにカブせるように、

「百蔵さん、このお方は、もと、わたしのお世話になった御主人様のお嬢様ですから、わたしはちょっと御一緒に行って参ります、それで今晩はあそこへ行くのはやめましょう、直ぐに帰りますから、両国へ行って待っていて下さい。友さん、お前も両国へおいで」

そこで相合傘が、また二つにわかれました。

お角のさして来た蛇の目の傘には、お銀様が入り、お銀様のさしていた番傘を米友に渡すと、米友は、それを受取って不承不承に、がんりきの上へ差しかけます。

蛇の目の傘は両女を容れたまま、もと来た方へ動き出したから、こうなってみるとがんりきも、それを追蒐けて袂を引くのもみっともないとあきらめたのか、だまって見送っているだけでした。

「や、こりゃ、どうも兄さん有難う」

ようやくのことで、番傘を差しかけてくれている米友の好意に気がついてみると、がんりきも動き出さなければなりません。動き出したところで今度は蛇の目の傘ではなく、番傘で、そうして相合傘の主も、得体の知れぬ河童のような男だから、多少うんざりしないわけにはゆかない。