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たいへいようらいげきせんたい
太平洋雷撃戦隊
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页
軍港を出た五潜水艦
謎の航路はどこまで
「波のうねりが、だいぶ高くなって来ましたですな」
先任将校は欄干につかまったまま、暗夜の海上をすかしてみました。
「うん。風が呻りだしたね」
そういったのは、わが○号第八潜水艦の艦長清川大尉です。
司令塔に並び合った二つの影は、それきり黙って、石像のように動こうともしません。今夜もまた、第十三潜水戦隊は大波の中を、もまれながら進んでいるのです。
暗澹たる前方には、この戦隊の旗艦第七潜水艦が、同じように灯火を消して前進しているはずです。又、後には、第九、十、十一の三艦が、これも同じような難航をつづけているはずです。五分おきにコツコツと水中信号器が鳴って、おたがいが航路から外れることのないように、警戒をしあっています。
この五隻の○号潜水艦が、横須賀軍港を出たのは、桜の蕾がほころびそうな昭和○年四月初めでありました。それからこっちへ、もう一月ちかい日数がたちました。その間、どこの軍港にも入らないし、島影らしいものも見かけなかったのでした。
もっとも水面をこうやって航行するのは、きまって夜分だけです。昼間は必ず水中深く潜航を続けることになっていましたので、明るい水上の風景を見ることも出来ず、水兵たちはまるで水中の土竜といったような生活をつづけていたわけでした。