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たいへいようらいげきせんたい

太平洋雷撃戦隊

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页

青空文庫

とにかくこんなに永い間、どこにも寄らないで、一生懸命走っているということは、今までの演習では、あまり類のないことでした。

「どうも、本艦はどの辺を航海しているのか判らんねえ」

第八潜水艦の兵員室で、シャツを繕っていた水兵の一人がいいました。

「もう二十五日もたつのに、どこの根拠地へも着かないんだからね」

それにこたえた水兵が、手紙を書く手をちょっと休めて、あたりの戦友をグルッと見廻しました。グルッと見廻すといったって、まるで樽の中のような兵員室です。右も左も、足許を見ても天井を仰いでも、すぐ手の届きそうなところに大小のパイプが、まるで魚の腸を開いたように、あらゆる方向に匍い並んでいます。

「第一不思議なのは本艦の方向だよ。或時は東南へ走っているかと思うと、或時は又真東へ艦首を向けている」

「そうだ。俺は昨夜、オリオン星座を見たが、こりゃひょっとすると、飛んでもない面白いところへ出るぞと思ったよ」

「面白いところへ出るって、どこかい。おい、いえよ」

「うふ。その面白いところというのはな」

「うん」

「それは……」

と、先をいおうとしたときに、室内に取付けてある伝声管が突然ヒューッと鳴り出しました。