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たいへいようらいげきせんたい

太平洋雷撃戦隊

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页

青空文庫

ああ、遂に×の駆逐艦二隻と、第八潜水艦との正面衝突――これはどっちの勝だか、素人にも判ることです。恐らく潜水艦の砲力が及ばない遠方から、はるかに優勢な駆逐艦の十サンチ砲弾が、潜水艦上に雪合戦のように抛げかけられることでしょう。そうなれば一溜りもありません。

しかし艦長の清川大尉は、悠々と落ちついていました。味方の四艦からは、もうかなり離れました。そのときです。

「面舵一杯ッ」

艦長の号令に、艦首はググッと右へ急廻転しました。

×の哨戒艦も、これに追いすがるように、俄かに進路をかえました。四千メートル、三千メートル……。×の四門の砲身はキリキリキリと右へ動きました。

「あッ」

八門の砲口から、ピカリ赤黒い焔が閃きました。と同時に真黒い哨煙がパッと拡がりました。一斉砲撃です。

どどーン。どど、どどーン。

司令塔のやや後の海面に、真白な太い水柱がドッと逆立ちました。まだすこし遠すぎたようです。

「×艦はあわてているぞッ」

清川艦長は微笑しました。

「もう少しだ。全速力!」

○号潜水艦はありったけの快速力を出して走ります。しかし、×艦はグングン近づいて、いよいよ完全に弾丸のとどく所へ迫りました。