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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

アンテナをやききった怪力線は、こんどは目標をかえて、駆逐艦の吃水部をねらった。

ぴちぴちぱっぱっと、目もくらむような焔が、駆逐艦の腹からもえあがった。と見る間もなく、海水はにわかにあわだちはじめた。艦腹に穴があいて、そこから海水がはいりこんでゆくのだろう。艦体はがくりとかたむいた。

どどーん。がーん。

はげしい爆発が起った。艦内から、ものすごい焔と煙がとびだして、艦全体を包んでしまった。やがてその間から、舳を上にしてずぶずぶと沈んでゆく悲壮な光景が見られた。さっきから怪力線砲が、しきりに甲板の上をなめるようにしていたが、ついに弾薬庫を焼きぬいて大爆発を起したためだった。

「うむ、うまくいった。駆逐艦であろうが、なんであろうが、怪力線にかかっちゃ、まるでおもちゃの軍艦も同様じゃないか」

ケレンコは、腹をゆすぶって笑った。

リーロフの行方

つぎのイギリス商船が、ほとんど一瞬のうちに、波間に姿を消したことは、改めていうまでもないであろう。

しかも、怪力線砲は、しつこくも、波間にただよう人たちまでなめまわしたのである。全世界にのろいをなげる共産党員は、こうしたことを平気でやっているのだ。