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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「どうしようと、おれの勝手だ。文句をいわずに手をあげろ、四の五のいうと命がないぞ」

「なに、命がない? 馬鹿をいうな。艇長を殺すことは、貴様も一しょに死ぬことだぞ。艇長がいなくなって、このサウス・クリパー号が安全に飛行できると思うか。それに――」

「それにどうした」

「わが艇員は、貴様のような無法者をそのままにしておかないだろう。無電監視所が変事をききつけて、いまに救援隊がかけつけて来る」

「うふふふ。何をほざく。貴様のうしろを見ろ、無電装置が、ピストルの弾で、こわされているのに気がつかないのか。そんなことに、手ぬかりのあるケレンコ様か」

「え――」

艇長がふりかえってみた。はたして無電装置の真空管が、むざんにも撃ちぬかれて、こわれていた。

(ああ、艇員たちは、一たい何をしているのだ。艇内が、エンジンの音でやかましいといっても、あのピストルの音が聞えないはずがない)

そのとき、とつぜん扉の向こうにはげしい銃声がきこえた。

「あ、あれは――」

艇長がおもわずさけんだ。

「ほう、やっているぞ。艇長さん。あれが耳にはいったかね」

ケレンコ委員長は、にやりと笑って、艇長の方を見た。