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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

一たい何をしているのだ。彼もまた、ケレンコとリーロフの勢いにのまれてしまったのであろうか。

いまや大飛行艇サウス・クリパー号は、おそるべき共産党員のため、すっかり占領されてしまったようである。

「おい、ダン先生」

ケレンコはいった。

「これで写真電送の器械も役にたたなくなったし、無電装置もこわれて、外との無電連絡は一さいだめになった。そこでこんどは、この艇の操縦室へ行く番となった。さあ案内しろ」

「私がか」

「そうだ。君は人質なんだ」

ダン艇長はいわれる通りにするほかはなかった。

艇内にある武器は、潜水将校リーロフがすっかりおさえてしまった。艇員たちが、ひそかにポケットにかくしもったピストルも、みなリーロフにまきあげられてしまったうえ、頤がはずれそうなほどつよく頬をぶんなぐられた。乗客たちも、一応しらべられたが、この方は、ほとんど武器を持っていなかった。

「おや、四十九番と五十番との席があいているじゃないか。ここの二人の客はどこへいった」

とつぜん大男のリーロフが、眼をむいた。

「さあ。存じませんねえ」

リーロフのお伴をしている艇員が、首をふった。

「じゃ、乗客名簿を出せ。