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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

そしてこんどは「やっ」と気合をかけると、赤い布の中から一羽の白い鳥をつかみだした。鳥は、ながい嘴をひらき、翼をばたばたさせてもがいている。

「わあー、わあー」

「ふ、ふ、ふーん」

ミンミン島人もロップ島人も、クイクイの神のおそろしい神力を目の前に見て、腹の底からおどろきのこえをあげて床の上にひれふした。

だが、クイクイの神のやっていることは、そう大してふしぎではない。それはごくありふれた小奇術なのだ。クイクイの神を名のる漁夫の三浦須美吉は、かねて習いおぼえていた手品でもって、これらの人たちをすっかり煙にまいてしまったのである。

しかし、彼にしてみれば何も手品が見せたくて、好きでやっているのではない。こうして原地人たちをおどろかしておかないと、いつ殺されるかもしれないからだ。彼はこうして神さまの威力を見せておいてから、

「おう、女、前に出てこい――」

と叫んだ。クイクイの神によばれた病気の女は、催眠術にかかったように、神の足もとへにじりよった。

「いよいよこんどは、お前の病気をなおしてやるぞ。どこが痛むか」

女は顔をしかめて、胸の下のところを指さした。

「おう、そこか。