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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
これでこそ、はるばる遠い波の上をここまでやってきたかいがあったと、たがいに顔を見合わせ、きいきいごえを出してうれしがっている。
それからすぐに、クイクイの神こと三浦須美吉は、ロップ島の原地人にまもられて、酋長ミンチの椰子の木の家からくらい地上におりた。
ミンミン島の原地人は、だれ一人、三浦をおくってこない。彼等には、夜の地上はこの上もなくこわいからだ。
ロップ島の原地人は、クイクイの神を手に入れて、まるで凱旋でもするような賑やかさだ。あの死ぬくるしみをしていた女までが、先にたってさわいでいる。
海岸には、丸木舟が五隻ほど待っていた。
三浦クイクイの神は、もうこうなってから逃げようとしても、とてもだめだとわかっているので、おとなしく丸木舟にのりこんだ。
やがて丸木舟は、櫂の音もいさましく、まっくらな海の上を走りだした。
磁石もなにももたぬ原地人たちは、星を目あてに、えいえいとこえをそろえて漕ぎゆくのだった。舟は、矢のように走る。夜の明けないうちに、五十キロも先のロップ島へかえりつかねばならないのだ。
三浦須美吉は、酋長ロロが舵をとる丸木舟の舳にしゃがんでいたが、目が闇になれてきたとき、原地人たちはいつの間にか、ミンミン島で鼻までたれてかむっていた頭巾をぬいでいるのがわかった。