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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

ロップ島! この島から、海魔があばれている海魔灘まで、わずかに十キロあまりしかないのである。

太刀川は生きていた

さて話は元にもどって、海魔灘の渦巻にまきこまれて、海上から姿をけしさった太刀川時夫は、どうしたことであろうか。また、潮に流されながら時夫にたすけをもとめていた石福海少年は、どうなったことであろうか。

がんがんがんがん。がんがんがんがん。

鉄をたたいているような物音である。

「あ、やかましい。耳がいたいじゃないか」

太刀川時夫は、夢心地でつぶやいた。

ぽとり、と、つめたいものが、時夫の襟もとにおちて、せなかの方にまわった。

「ああ――」

そこで、太刀川時夫は、やっと気がついた。

「はて、ここはいったいどこだろう」

あたりをずっと見まわした。

そこは、コンクリートでかためた四角な空井戸の中のようなところだった。壁はびしょびしょに水でぬれている。ふしぎなのは、時夫のいる床だった。あらい鉄格子でできている。がんがんがんというものすごい音は、鉄格子の下からきこえてくるのだった。

電灯らしいものもないのに、この室内は鉄格子の下からぽーっと青白い光がさしていて、物の形がわかる。