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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
稚拙であるから正一郎の狙いがよく分る。それに対する小山内父子の術というものの本体もおぼろげながら分ってきた。術の下に姿を没している名手の狙いの怖しさもおぼろげながら身にしみた。すべては術だ。幻妙な術だ。怖るべきは術であると思った。
そして彼の日常に術を幻想することが多くなり、下僕の業に次第に身を入れて精励するようになった。
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正一郎は歌子との結婚を朝之助に願いでた。朝之助は即答をさけ、熟考ののち返答しようと約したのである。
結局この縁組は成立するに相違ないと存八は思った。正一郎は小山内道場のただ一人の門人である。その狙いと執念は怪異であるが、シンラツであり、師もまた見どころある人物と推奨しているほどだから、これがムコにならなければ他にムコはあり得ない。
ところが朝之助は熟考ののちこの縁組を一応拒否したのである。実に熟考に熟考を重ねたことは存八の目にも明らかで、時に放心し、時にさすらい、時に樹下に端坐して、見るもムザンに考えこんでいた。
一方歌子はといえば、自分自身の縁談に無関心で、全てを父の一存に委せきった様子であった。そして、父が熟考を重ねて苦悶する様にイタワリの眼差をむけることはあっても、彼女自身の縁談について自ら思い悩む様子はミジンも見られなかったのである。