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じょせい
女婿
佐々木 邦
「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页
それから良人がこんな男を無二の親友として常に行動を共にするのも気に入らなかった。カッフェのお仲さんに至っては真の副産物に過ぎない。しかし決して好い心持はしないから、折を見て言ってやろうと思っていたところへ、辻村君がやって来たばかりか、清之介君が、矯正の第一着手を試みたのである。事あれかしと待ち構えていたところに鈍刀の鞘を払ったのだから、御良人、甚だ歩が悪かった。
けれども清之介君は直ぐ後から木下君をあんなに大切にして貰ったので、多少慰められた。続いて妙子さんの示した媚を呈するような風情に悉皆嬉しくなって、今夜のことは自分の僻みから起ったようにも考えられた。女婿でなくとも、これぐらいの我儘な細君を貰い当てることはあり得る。現に同僚の間にも年中女房の下敷になっているのが両三名ある。自分は女婿だと思うのが宜しくない。細君には両親があるに定ったものだから、良人たる以上は皆誰かの女婿だ。広い意味からいうと世に女婿ならざる良人はない。偶自分は勤めている会社の支配人の女婿なのである。何も割引をして考える必要はない。それに女婿だから会社に勤めているのではない。こゝまでは宜いが、その会社に勤めていたから支配人の女婿になったと思うと、少し変になって来る。