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じょせい
女婿
佐々木 邦
「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页
と女中のお富までがお里風を吹かすようなのも癪で、
「能く里に用があるんですね」
ぐらいに忿懣を洩らして、淋しく夕食の膳に向わなければならなかった。
或晩清之介君は帰宅が少し晩かった。お富が独り出迎えたので、
「奥さんは?」
と訊くと、
「今しがたまで待っていらっしゃいましたが、余りお晩うございますから、何処かへお廻りだろうと仰有ってお里へ参りました」
との返答。これは嘘に定っている。昼間から行っているに相違ない。
「晩いって、三十分晩いばかりです。電車の都合では三十分ぐらいは後れますよ」
と清之介君はプリ/\した。
「何ならお迎えに上りましょうか?」
とお富が言った。この何ならが、清之介君、又癪で、
「迎えに行って来て貰いましょう」
とつい言ってしまった。お富は直ぐに台所へ廻った。
清之介君は一寸後悔を感じた。しかし追っかけて取消す次第にも行き兼ねた。騎虎の勢い致し方ない。少し胸騒ぎをさせながら着替を終って膳に向ったが、呼びにやって置いて独りで食べては趣意が立たない。却って突っ込まれる虞があると気がついたから、夕刊を熟読していると、妙子さんはお富と一緒に帰って来て、