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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
「新潮」1931(昭和6)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页
寝床の中で、煙草をふかしたり新聞をよんだりすることを、彼は知らない。起上って、顔を洗って、万事はそれからだ。随って、睡い時にはいつでも眠るということになる。朝食をして、新聞をみて、またすぐに寝床にはいることもある。それを彼は自然的保健法と云っている。
前晩就寝が遅かったにも拘らず、彼は比較的早く眼を覚して、自然的保健法の習慣で、すぐに起上った。が驚いたことには、朝寝坊だろうと想像していたキミ子が、もうとっくに起上って、女中たちと一緒に立働いてるのだ。室の掃除や、雑巾がけや、庭掃き……。子供たちの学校行の仕度までも手伝ったそうだ。彼が縁側で煙草をすいながら、お早う、と声をかけると、丁寧にお辞儀をして、にこにこして、行ってしまった。おかしな奴だ。そして朝食の時には、女中たちと一緒に食べるんだといってきかない。お惣菜の都合があるからと女中に説かれて、漸く島村と一緒の食卓に坐ったものだ。
「朝っぱらから……困るじゃないですか。」
「だって、あたし、働くのが嬉しいんですもの。でも、先生んとこ、どこも綺麗ね。」
昨晩とは、また言葉の調子がちがっている。だが、それが自然だった。