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じょなん
女難
国木田 独歩
「文藝界」1903(明治36)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,695 字 · 45 页
お俊はなかなか気をつけて看護してくれました。藤吉からは何の消息もありません。私は藤吉のことを思いますと、ああ悪いことをしたと、つくづくわが身の罪を思うのでございますが、さればとてお俊を諭して藤吉の後を逐わすことをいたすほどの決心は出ませんので、ただ悪い悪いと思いながらお俊の情を受けておりました。
そのうちだんだん眼が悪くなる一方で役所は一月以上も休んでいるし、私は気が気でならず、もし盲目になったらという一念が起るたびに、悶え苦しみました。
ここに怪しいことのございますのは、お俊の様子がひどく変ったことでございます、なんとなく私を看護するそぶりが前のようでなく、つまらぬことに疳癪を起して私につらく当るのでございます。そして折り折りは半日もいずれにか出あるいて帰らぬこともあるのです。私は口に出してこそ申しませんが、腹の中は面白くなくって堪りません。ところがある日のことでございました、『御免なさい』と太い声で尋ねて来た者があります。
『いらっしゃい』とお俊は起ってゆきましたが、しばらく何かその男とこそこそ話をしていましたが、やがて私の枕元に参りまして、『頭領が見えました、何かあなたにお話ししたいことがあるそうです』