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ようふ
妖婦
織田 作之助
「風雪 三月号」1947(昭和22)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,892 字 · 14 页
安子の返事の簡単さにさすがの新太郎も驚いたが、しかし父親はそれ以上に驚いて、
「莫迦なことを云うもんじゃねえ」
と安子の言葉を揉み消すような云い方をしたが、ふと考えてみれば、安子のような女はもうまともな結婚は出来そうにないし、といって堅気のままで置けば、いずれ不仕末を仕出かすに違いあるまい。それならばいっそ新太郎の云うように水商売に入れた方がかえって素行も収まるだろう。もともと水商売をするように生れついた女かも知れない、――そう考えると父親も諦めたのか、
「じゃそうしねえ」と、もう強い反抗もしなかった。
安子はやがて新太郎に連れられて横浜へ行き芸者になった。前借金の大半は新太郎がまき上げた。この時安子は十八歳であった。