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つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
がつきかねる感じで、そびれております。――
こんな書き出しで、四人の子供をかかえたやもめ暮しの大変さをかきつらね、野村としては今度の結婚をただ便宜的にだけ考えているわけではないが実は困りぬいていること、だしぬけにこんなことをいって猫の子をもらうようなわけにはゆかぬし、やぶから棒でびっくりしたかと思うが、自分のようなところへでもきてくれそうな人に心あたりがあれば、世話をたのみたいこと、自分としては、今かいている小説を仕上げて、死んだ女房の思い出にケリをつけてからと考えているのだが、子供たちがせがむので、一周忌の六月が過ぎたら結婚したいと考えていること、こういう便宜的動機をたぶんにふくんで妻をさがすなど、これもこの時代と、自分のような中年者の特徴かもしれないと思うが、私自身は軽率な気持はないつもりだから、よろしくたのむとかき、最後に「文学がわからなくてもけっこうです。お針のできるやさしい人なら理想的です。どこかこの手紙を気らくによんで下さって、かっこうなのがあればくらいで、なければ忘れておいて下さい。今夜子供といろいろ話した末、フッとあなたに手紙でならかきよいので書きましたが、まだだれにもいったことはありません。