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ふじんさっか

婦人作家

宮本 百合子

「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页

青空文庫

『みだれ髪』から『春泥集』(一九一一)に移ってゆく過程には

あはれなる胸よ十とせの中十日おもひ出づるに高く鳴るかな

いつしかとえせ幸ひになづさひてあらむ心とわれ思はねど

人妻は七年六とせいとなまみ一字もつけずわが思ふこと

など深い暗示をもつ歌も生れた。

つぎつぎにうまれる多くの子供らを育て、年毎に気むずかしくなる良人鉄幹との生活を、母として妻として破綻なくいとなんでゆくためには、経済的な面でも晶子の全力がふりしぼられた。短歌の他に随筆も書くようになって行った。随筆で、晶子は不如意な主婦・母親としての日常を率直に語って、生活的であった。晶子が書く政治的な論文は、当時の婦人には珍しい社会的・政治的発言としてよまれた。しかし、彼女の短歌の世界は、現実のそういう面に接近させられなかった。与謝野晶子の歌として、世人が期待するになれた象徴と自然鑑賞のうちに止まりとおしたことは注目されなければならない。様々の理由がそこにあったろう。晶子が、自身の創作上の方法論をもたなかったこと、それも、彼女の発展を困難にしたことはたしかである。

一九〇四年、晶子が「旅順港包囲軍の中に在る弟を歎きて」