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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
どこかで聞いて来てたもんだから、ついね、」
と気の毒そう。
「まあ、可い、そんな事は構わないが、僕と懇意にしてくれるんなら、もうちっと君、遊蕩を控えて貰いたいね。
昨日も君の母様が来て、つくづく若様の不始末を愚痴るのが、何だか僕が取巻きでもして、わッと浮かせるようじゃないか。
高利を世話して、口銭を取る。酒を飲ませてお流頂戴。切々内へ呼び出しちゃ、花骨牌でも撒きそうに思ってるんだ。何の事はない、美少年録のソレ何だっけ、安保箭五郎直行さ。甚しきは美人局でも遣りかねないほど軽蔑していら。母様の口ぶりが、」
とややその調子が強くなったが、急に事も無げな串戯口、
「ええ、隊長、ちと謹んでくれないか。」
「母様の来ている内は謹慎さ。」
と灰を掻きまわして、
「その代り、西洋料理七皿だ。」と火箸をバタリ。
十五
「じゃあ色気より食気の方だ、何だか自棄に食うようじゃないか。しかし、まあそれで済みゃ結構さ。」
「済みやしないよ、七皿のあとが、一銚子、玉子に海苔と来て、おひけとなると可いんだけれど、やっぱり一人で寝るんだから、大きに足が突張るです。それに母様が来たから、ちっとは小遣があるし、二三時間駈出して行って来ようかと思う。