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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

お嬢様も近々御縁が極りますそうで、おめでとう存じます、えへへ、と燥いだ。

余計な事を、と不興な顔をして、不愛想に分れたが、何も車屋へ捜りを入れずともの事だ、またそれにしても、モオニング着用は何事だと、苦々しさ一方ならず。

曲角の漬物屋、ここいらへも探偵が入ったろうと思うと、筋向いのハイカラ造りの煙草屋がある。この亭主もベラベラお饒舌をする男だが、同じく申上げたろう、と通りがかりに睨むと、腰かけ込んだ学生を対手に、そのまた金歯の目立つ事。

内へ帰ると、お蔦はお蔦で、その晩出直して、今度は自分が売卜の前へ立つと、この縁はきっと結ばる、と易が出たので、大きに鬱ぐ。

もっとも売卜者も如才はない。お源が行ったのに較べれば、容子を見ただけでも、お蔦の方が結ばるに違いないから。

一日措いて、主税が自分嘱まれのさる学校の授業を済まして帰って来ると、門口にのそりと立って、頤を撫でながら、じろじろ門札を視めていたのが、坂田礼之進。

早やここから歯をスーと吸って、先刻からお待ち申して……はちと変だ。

さては誰も物申に応うるものが無かったのであろう。女中は外出で? お蔦は隠れた。