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よめとりにだいき
嫁取り二代記
山本 周五郎
「婦人倶楽部」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,763 字 · 23 页
四
「やはり饒州の方が、同じ白でも色に深く澄んだところがござりまする」
「それを『白の秘色』と云う」
「肌目の密な、手触りにじっくりと厚味のあるところも、やはり饒州の方が優れているように思われまする」
白魚を伸べたような指で、飽かず鉢の肌を撫でている様は、どうやら軽薄な機嫌執りでもないらしい、勘兵衛はいつかすっかり誘いこまれていた。
「こっちへ参れ、薩摩の青瓷を見せる」
「どうぞお願いいたしまする」
それからおよそ一刻あまり、勘兵衛は熱心に庭中お笛を伴れ廻っていた。
四
「どうもおれは人が好い」
その夜勘兵衛は後悔していた。
「彼女め焼物が分りそうな振りをするものだから、つい迂濶とひっかかった。こんな事ではとても性根を掴むことはできん――今度からはごまかされぬ要慎をしてかかるぞ」
ひそかに固い決心をした。
その明くる日、下城した勘兵衛が庭へ下りてゆくと、お笛が小庭の方からやってきて、
「お帰り遊ばしませ、お疲れでござりましょう」
「――うん」
「お恥かしゅうござりますが粗茶を淹れました、どうぞお立寄りくださいませ」
羞いを含んで微笑しながら云う、勘兵衛は不機嫌に唇を結んだまま黙ってお笛の後から跟いていった。