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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「何あに、学校の先生だから話が分る。それにお父さんに信用がある」

「角張りだから信用があるんです」

「まあ/\、おれに委して置け」

「兄さんは何故自分で言って下さらないんですか?」

「おれはいけない」

と俊一君は諦めていた。

「何故です?」

「お父さんからアベコベに頼まれている。それだのにお前に同情するものだから、この頃信用がないんだ」

「巧く言っていらあ」

「何だ?」

「ヘッヘヽヽヽ」

「何だい? 失敬な」

「そんな怖い顔をしても駄目です。僕は聞きましたよ」

「何を?」

「兄さんは早く貰いたいものだから、この頃は鼠のように猫を被って大人しくしているんですって」

「誰がそんなことを言った?」

「芳子姉さんです」

「何と言ったか、もっと詳しく話して御覧」

「この間の縁談は先方から断られたんですって。それは安子姉さんでしたよ」

「馬鹿を言やがる。それから?」

「兄さんが銀座のカッフェへ毎晩往くことが知れたものだから先方で厭になったんですって」

「おれはカッフェへなんか滅多に行きやしない」

「表面然う軽く言って来たんでしょう。疵のつかないように」

「馬鹿!」

「兎に角、その為にお父さんの信用がなくなったんでしょう。