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こどものじぶんのはなし

子供の時分の話

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,307 字 · 11 页

青空文庫

あめ売りの吹く、チャルメラの声を聞くと、子供の時分のことを思い、按摩の笛の音を聞くと、その人は涙ぐみました。その話を聞かせた人は旅の人です。そして、その不思議な話というのはつぎのような物語です。

*   *   *   *   *

町からすこしばかり離れた、小さなさびしい村でありました。村には昔の城跡がありました。ちょうど私と同じい七つ、八つばかりの子供が、毎日五、六人も寄り集まって鬼事をしたり、こまをまわしたりして遊んでいました。

ずっと以前から、この村に一人のあめ売りじいさんが入ってきました。チャルメラを吹いて、小さな屋台をかついで町の方からやってきました。子供らはみんな、このおじいさんの顔をよく知っていました。

私は、昼寝をしている時分に、夢の中でこのチャルメラの声を聞いたこともあります。また外に遊んでいる時分に、かなたの往来にあたって聞いたこともあります。

木の葉が風に光っていたり、とんぼが飛んでいるのを見るよりほかに、変化のない景色は物憂く、単調でありましたから、たまたまあめ売りの笛の音を聞くと、楽しいものでも見つかったように、その方へ駆けていったものです。