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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

目の前にある戸棚のどこかに仕掛があるらしい。

「すると目的地はどこですか。もう艇内に落付いた以上、それを明かにしてくれてもいいでしょう」

僕は、遠慮を捨てて、正面からぶつかっていった。

「まあ待ってください。いずれおいおい分って来ますから、しばらくそのことは……」

「博士。僕は報道員ですぞ。真相は一刻も早く知っていなければなりません」

「それは分っています。しかし私は貴方の健康を案ずるが故に、もう少し待って貰います」

「健康を案ずるとは何故です。僕は病人ではありませんよ。このとおり健康です。博士がいわなければ、こっちからいいましょう。われわれは、ドイツを脱出してはるばる日本へ赴くのでしょう。どうです、当ったでしょう」

僕は博士の返事を待った。だが博士はそれに応えなかった。いや、博士がそのことについて返事を拒んだだけではない。その後僕がいくら喚いてみても、博士の声は遂に戸棚からとびだしてこなかった。博士が送話器のスイッチを切ったことは確実だった。

僕は、囚人に成り下ったような気がした。

驚愕

正六面体の部屋の中に幽閉された僕は、それから二時間あまりを、地獄の生活とはこんなものかと思う程のなさけない気持でもって送った。