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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 页

青空文庫

その理が田舎豪傑には分らない。それが分れば田舎豪傑ではないのである。

田舎豪傑にもウヌボレや抱負はある。むしろ有りすぎて困るのが田舎豪傑のウヌボレと抱負なのかも知れない。彼はいつも時代におくれていた。彼の経綸は常に後手をふんだ。秀吉に小田原石垣山の陣屋へよびつけられて油をしぼられた二十四のザンギリ髪の異形児は、はじめて天下の大を身にしみて味い、とても関白だの将軍だのというものにはなれないと悟ったらしい。せめて平泉の藤原氏のように奥州だけでも征服してその親分に、ただし平泉のように身を亡さずに子孫代々そうありたい、というような心得になったようだ。彼が生前に松島に瑞巌寺をたて自分の廟所に予定したのも、平泉的でもあるし、信長の総見寺という御手本もある。しかし、瑞巌寺は二級品ですよ。方丈の屋根だけは美しいと思ったが、襖絵なんかは悲しいね。秀吉の遺した桃山芸術、智積院の襖絵だの三十三間堂の太閤塀などという豪放ケンランたるものの片鱗すらも見られない。今は失われた秀吉の多くの建造物は、残った部分品から推察しても壮大ケンランたるものであったことが推察できる。そのようなケンラン豪快なものは、ここには見られない。