轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
06 長崎チャンポン――九州の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,780 字 · 43 页
彼の刀の鍔に金の十字架がはめこんであったらしく、彼の姿が消える前にその十字架に礼を払って胸に十字を切る。そしてパッと身をひるがえして煙の如くに遁走する。そこで金鍔次兵衛の名が現れたのだそうだ。彼が妖術、もしくは忍術使いだということは捕吏をはじめ一般に確信されたもののようである。そしてその妖術の鍵が彼の帯刀の金の鍔にあるという俗説も行われていたようだ。
思うに、日本の忍術使いが真言の九字を切るということは後世の空想的な産物で、その原型は、むしろ切支丹が胸にきる十字、そして金鍔次兵衛の存在や流説などがその有力な原型ではなかったかね。日本の忍術使い、甲賀者は切支丹以前から存在し、島原の乱にも幕府方、松平伊豆守が甲賀者を用いたことが、その息子の日記に見えている。甲賀者は天草四郎の部下の農民に変装して籠城の敵軍にもぐりこむことに成功した。ところがこの忍術使いは忍びの術には達していたが、九州の農民の方言も分らぬばかりでなく、切支丹の用語も知らず、その祭儀に処する身ぶりの心得もないから、たちまちバレて背後から石ツブテをぶつけられつつも忍術使いだけの貫禄を示して、ホウホウのていで逃げ戻ったという。