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あんじゅうこん

安重根

谷 譲次

――十四の場面――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页

青空文庫

禹徳淳 (今の黄成鎬の問いを笑いに紛らして)ははははは、君たちはこの、火のないストウブを囲んでどうしようというんだ。

青年G (壁にもたれて、懐疑的に)火のないストウブか。ほんとだ。火のないストウブに当って、いくらか煖かいつもりでいる。気力のない同胞を激励してどうにかなる気でいる。運動の将来も楽じゃないなあ。

同志一 (ストウブの覆をあけて黄成鎬へ)おやじ! 火を入れろ。

同志二 石炭はどこにある。

黄成鎬 (独語)火のねえストウブに当って煖けえ気でいる。(手真似で考える)こいつあうめえことを言った。大きにそんなものかも知れねえ。

同志二 (黄成鎬へ)何を感心しているんだ。夜が更けて来たら急に寒くなった。ストウブを焚くんだ。石炭奢れよ。

黄成鎬 火はありませんよ。石炭もありませんよ。火種もなし石炭もなしで火を燃やすのが、あんた方の仕事だ。

青年H はっはっは、あんなことを言う。

青年Eは倒れていた腰掛けを起して馬乗りになっている。

青年E しかし、さっきの話ですがねえ、僕あ伊藤がハルビンへやって来る真の目的は、鉄道買収などとそんなちっぽけなことではあるまいと思うんだ――。