轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页
私は、小国川と鮭川を辞してから、さらに酒田港へ海釣りの見物に行った。土地の人々の話によると、酒田の町にはいま二、三千人の釣り客がいるそうだ。しかし、酒田に釣りが盛んになったのは、今はじまってのことではない。遠く幕末の頃から、鶴岡の酒井藩の風を学んで町民が競って竿を担ぐようになったのであるという。まことに、興深い話である。
酒田港は、出羽の名川最上川の河口にある。遠く海に突きだした突堤が、二、三千メートルもあろうか。その突堤の上に、夜となく昼となくいつも二、三百人の釣り客が竿と糸とを操っている。これから次第に秋深み、黒鯛の当歳子と鯔の釣季に入れば、銀座の石畳の道を彷彿とさせて壮観であるそうだ。千人にも余る釣り人が幅狭い堤上を右往左往して随所に竿と糸が乱れ争い、その雑踏は身動きもならぬほどであるという話であった。
ちょうど、私が堤防の突端まで行った日は、釣りものの少ない季節であった。僅かに小型の縞鯛、小けいづ、さより、沙魚などばかり釣れるもので、釣り人はいずれも竿を投げうち、腕を拱いて不漁を歎じていた。
河口の風景は素晴らしい。沖の飛島は、低い空を行く雲に遮られて見えなかったが、北の空に高い鳥海山が長い裾を東西に伸ばしていた。