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いえのはなし
家の話
柳田 国男
「奉公」奉公会、1918(大正7)年1月~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,799 字 · 23 页
郷侍の殺戮
織田・豊臣の時代から、江戸の初期へかけて、右の地侍の大規模の殺戮というものが、各地において行われた。その紛乱の動機がある点において、明治初年の断髪廃刀令の施行の際に似ているのは面白いことであると思う。
郷侍の殺戮
戦国時代の軍記類を読むと、いわゆる郷士なるものはたびたび二三勢力ある大名の間に向背して、いかにも内股膏薬の定節がなかったように見えるが、しかもだいたいからいうと彼等を拘束しておった法則は、義理と恩顧の観念であった。今まで名を聞いたこともない新しい家が、力ずくで来て支配をするとなれば、動揺をせざるを得なかったのである。その上祖先の地を去って城下へ出て奉公せよと命ぜられ、もし郷里に止まらんとするならば、普通の百姓と同率の賦課を受けねばならぬとあっては、彼等の間に最も貴重としている土地と家との因縁を無視せられ、しかも領主こそ代ったれ、近郡の小領主間には血族交友の親しい関係がある上に、保守の思想においてもまた一致しているのであるから、彼等が共謀して新制度に反抗しようとしたのは当然のことである。
こういう場合には、その以前から領主等が用いた策は、常に騙し討であった。