轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いえ
家
島崎 藤村
02 (下)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,411 字 · 285 页
隣室へ酒を出して置いて、私は独りで寝転びながら本なぞを読みます。すると茶屋の姉さんが『橋本さん、貴方は妙な方ですネ』なんて……」
二人は電車の音のしないところへ出た。その辺は直樹の家に近かった。昔時、直樹の父親が、釣竿を手にしては二町ばかりある家の方からやって来て、その辺の柳並木の陰で、僅かの閑を自分のものとして楽んだものであった。その人が腰掛けた石も、河岸の並木も大抵どうか成って了った。柳が二三本残った。三吉と正太は立って眺めた。潮が沖の方から溢れて来る時で、船は多く川上の方へ向っていた。
「大橋の火見櫓だけは、それでも変らずに有りますネ」
と正太が眺めながら言った。
青い潮の反射は直に人を疲れさせた。三吉は長く立って見てもいられないような気がした。正太を誘って、復た歩き出した。
大橋まで行って引返して来た頃、三吉は甥の萎れている様子を見て、
「正太さん、向島にはチョクチョクお逢いですか」と言って見た。
「サッパリ」
「へえ、そんなかネ」
「威勢の悪いこと夥しいんです。向島が私に、茶屋でばかり逢うのも冗費だから、家へ来いなんて……そうなると、先方の母親さんが好い顔をしませんや。