轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふじ

富士

岡本 かの子

「文芸」1940(昭和15)年11月号~1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,579 字 · 82 页

青空文庫

そこはのびのびとしていて展望も利いた。

二つに分れている峯にはどちらにも登れた。岳神の息子夫妻の象徴のように一方は普通の峯かたちで、一方はいくらか繊細で鋭く丈けも高かった。山の祖神の老いの足でも登れた。

東の国の平野が目の下に望まれた。その岸に寝た刀禰の川水がうねうねと白く光って通っている。河口の湖のような入江。それから外海の波が青く光っている。

西北の方には山群が望まれて、翁の心を沸き立たした。も少し自分の齢が若かったらこどもをあれ等の岳神に送るのにと思わしめた。山郡のところどころに高い山が見えた。煙りを噴いてる山も望まれる。遠く福慈岳が翁の眼に悲しく附き纏う。

奇妙な形をしたいろいろの巨きな岩、滝――女体の峯から戻って来る道には、そういう目の慰みになるものもあった。虫を捉えて食べるという苔、実の頭から四つの羽の苞が出ている寄生木の草、こういうものも翁には珍らしかった。

息子の岳神は暇な暇な、父の祖神を山中に案内して見せて廻るうち、ある日、山ふところの日当りの小竹原を通りかかり、そこに二坪近くの丸さに、小竹之葉が剥げ、赤土が露き出ているのを見付けると、息子の岳神は指して笑いながらいった。