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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页

青空文庫

つまりなんとなく年を取られたというのでもあろう。かえるの声のまねをするような先生はもういなかった。昔かいた水彩画の延長と思われる一流の南画のようなものをかいて楽しんでおられた。無遠慮な批評を試みると口を四角にあいて非常に苦い顔をされたが、それでも、その批評を受けいれてさらに手を入れられることもあった。先生は一面非常に強情なようでもあったが、また一面には実に素直に人の言う事を受けいれる好々爺らしいところもあった。それをいいことにして思い上がった失礼な批評などをしたのは済まなかったような気がする。いつかおおぜいで先生を引っぱって浅草へ行ってルナパークのメリーゴーラウンドに乗せたこともあったが、いかにも迷惑そうではあったが若い者の言うなりになって木馬にのっかってぐるぐる回っていた。そのころよく赤城下の骨董店をひやかして、「三円の柳里恭」などを物色して来ては自分を誘ってもう一ぺん見に行かれたりした。京橋ぎわの読売新聞社で第一回のヒューザン会展覧会が開かれたとき、自分が一つかなり気に入った絵があって、それを奮発して買おうかと思うという話をしたら、「よし、おれが見てやる」