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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页

青空文庫

それが生徒に腹を立ててどなりつけるのではなくて、いったいどうして生徒がそういう不都合をあえてするかということに関する反省と自責を基調とする合理的な訓戒であったのだから、元来始めから悪いにきまっている生徒らは、針でさされた風船玉のように小さくなってしまった。化学のK先生がそばにいて取り成しの役を勤められたのにお任せしてとにかく一同で謝罪と謹慎の意を表してゆるしてもらうことになったのである。

われわれの在学中田丸先生はほとんど一度も欠勤されなかったような気がする。当時一方には、日曜の翌日、すなわち月曜日というと三度に一度は必ず欠勤するという先生もいたので、田丸先生の精勤はかなり有名であった。

ある時熊本の町を散歩している先生の姿を見かけた記憶がある。なんでも袖の短い綿服にもめん袴をはいて、朴歯の下駄、握り太のステッキといったようないで立ちで、言わば明治初年のいわゆる「書生」のような格好をしておられた。そうして妙な頭巾のような風変わりの帽子をかぶっておられたような気がする。とにかく他の先生がたに比べてよほど書生っぽい質素で無骨な様子をしておられたことはたしかである。