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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页

青空文庫

たとしたなら、その時にはじめて上記の考えがだいたいに正しいということになるであろう。

これはあまりにも勝手な空想であるが、こうした実験も現在の進んだ音響学のテクニックをもってすれば決して不可能ではないであろう。

それはとにかく、以上の空想はまた次の空想を生み出す。それは、九官鳥の「モシモシカメヨ」が、事によると、今ここで想像したような人工音製造の実験を、鳥自身も人間も知らない間に、ちゃんと実行しているのではないかということである。

この想像のテストは前記の人工音合成の実験よりはずっと簡単である。すなわち、鳥の「モシモシカメヨ」と人間のそれとのレコードを分析し、比較するだけの手数でいずれとも決定されるからである。

こうした研究の結果いかんによっては、ほととぎすの声を「テッペンカケタカ」と聞いたり、ほおじろのさえずりを「一筆啓上仕候」と聞いたりすることが、うっかりは非科学的だと言って笑われないことになるかもしれない。ともかくも、人間の音声に翻訳した鳥の鳴き声と、本物とのレコードをたんねんに比較してみるという研究もそれほどつまらない仕事ではないであろうと思われるのである。