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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页

青空文庫

に付着している。それがちょっとつま楊枝の先でさわってもすぐこぼれ落ちるほど柔らかい海綿状の集塊となって心核の表面に付着し被覆しているのである。ただの灰の塊が降るとばかり思っていた自分にはこの事実が珍しく不思議に思われた。灰の微粒と心核の石粒とでは周囲の気流に対する落下速度が著しくちがうから、この両者は空中でたびたび衝突するであろうが、それが再び反発しないでそのまま膠着してこんな形に生長するためには何かそれだけの機巧がなければならない。

その機巧としては物理的また化学的にいろいろな可能性が考えられるのであるが、それもほんとうのことはいろいろ実験的研究を重ねた上でなければわからない将来の問題であろうと思われた。

一度浅間の爆発を実見したいと思っていた念願がこれで偶然に遂げられたわけである。浅間観測所の水上理学士に聞いたところでは、この日の爆発は四月二十日の大爆発以来起こった多数の小爆発の中でその強度の等級にしてまず十番目くらいのものだそうである。そのくらいの小爆発であったせいでもあろうが、自分のこの現象に対する感じはむしろ単純な機械的なものであって神秘的とか驚異的とかいった気持ちは割合に少なかった。