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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页

青空文庫

以上述べきたったような日本の自然の特異性またそれによって規約された日本人の日常生活の特異性はその必然の効果を彼らの精神生活に及ぼさなければならないはずである。この方面に関しては私ははなはだ不案内であるが上述の所説の行きがかり上少しばかり蛇足を加えることを許されたい。

日本人の精神生活

単調で荒涼な砂漠の国には一神教が生まれると言った人があった。日本のような多彩にして変幻きわまりなき自然をもつ国で八百万の神々が生まれ崇拝され続けて来たのは当然のことであろう。山も川も木も一つ一つが神であり人でもあるのである。それをあがめそれに従うことによってのみ生活生命が保証されるからである。また一方地形の影響で住民の定住性土着性が決定された結果は至るところの集落に鎮守の社を建てさせた。これも日本の特色である。

仏教が遠い土地から移植されてそれが土着し発育し持続したのはやはりその教義の含有するいろいろの因子が日本の風土に適応したためでなければなるまい。思うに仏教の根底にある無常観が日本人のおのずからな自然観と相調和するところのあるのもその一つの因子ではないかと思うのである。