轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちいさなやぎのきろく
小さな山羊の記録
「作品 第四号」1949(昭和24)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,402 字 · 19 页
私は昂然とそれに答えた。
「全然、アベコベです。私は、死にたいと思ったことは一度もありません。みんな生きるため、最後の危険をかけて自分をためして、きっとそこから仕事への立直りを見出すためです。死のうなんて、そんな、バカな」
然し、私の呂律はまわらなかった。私の舌はもつれ、殆ど、言葉を思うように表現することが、七分通り不可能になっていた。私が、その時、突如として、身構えを改め、千谷さんを見つめて、全身の力をもって反撥したことは事実である。然し、私の腰は、うまく支えることができず、グラグラした。
私の女房が長畑さん(東大柿沼内科医局長)をよんできた。長畑さんは、アドルムをとりあげ、私の許可がなければ、もう一切の薬を服用してはいけません、約束しますか、と云った。私は、約束します、と答えた。その代り、明日にでもすぐ入院したい。耳鼻科へ入院したい。蓄膿が、私の思考を奪い去ったのです。鼻を治せば、必ず、すべてが治りますから、と頼んだ。その晩、その翌晩も、長畑さんは私の家に泊ってくれた。幻聴と不眠に悩む私の不安をすこしでもまぎらしてくれるためであった。事実、私は一睡もできなかった。