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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

私を神様か何ぞのように大切にかけて、生卵や果物なぞを特別に沢山下すって御機嫌を取りながら、否応なしに競技に引っぱり出されるのでした。私がノッポの、醜い姿を恥かしがっている気持なんかチットも察せずに……貴女は全校の名誉です……とか何とか繰り返し繰り返し言われるのでした。

けれどもその競技がすんだあくる日になりますと、最早、誰一人私を見向いて下さらないのでした。私という生徒がいたことすらも忘れておられるかのように遠退いてしまわれるのでした。

私は私が他校の選手と闘ってグングン相手を圧倒したり、引き離したりして行きます時に、手をたたいて狂喜される先生や生徒さん達の声からまでも、たまらない程の侮辱を感ずるようになって来ました。私は便所の中で下級生の人達がコンナ会話をしているのを聞きました。

「スゴイわねえ火星さん」

「まあ……誰のこと……火星さんて……」

「あら……御存じないの。甘川歌枝さんの事よ。あれは火星から来た女だ。だから世界中のドンナ選手が来たって勝てるはずはないんだって、校長先生が仰言ったのよ。だから皆、この間っから火星さん火星さん言ってんのよ」

「まあヒドイ校長先生……でも巧い綽名だわねえ。